インターネット広告の将来性

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インターネットが普及しだしたのは1995年、今からわずか約10年前のことです(2005年執筆時点)。

この年、アメリカMicrosoft社がWindows95を発売してインターネット接続が比較的簡単にできるようになりました。1998年には日本のインターネット利用者の数が1000万人を超え、今では検索エンジン大手のGoogleが誕生します。2000年にはGoogleの日本語サービスが開始され、2002年からブログが流行し始めました。


日本のインターネット接続環境では2000年に一部の地域で普及し始めたADSLが、2004年には約1300万ユーザに達します。2005年、ADSLなどのブロードバンドの普及は全ユーザの9割を占めるに到りました。

こうしてみるとインターネットの歴史は一般的なユーザにとっては、ごく最近のことであることが分かります。ごく浅い歴史しかないのです。その間インターネットはブラウザで表現できる情報の幅をどんどん広げていきました。初期は画像も静止画かGIFアニメ程度でしたが、今では動画コンテンツも普通になっています。この先どのような技術が開発されるのか予想できません。

インターネット広告は、以前は主要なポータルサイトに静止画バナーとして掲載するのが一般的でしたが、今ではWindows Media Playerなどの動画再生ソフトで配信されるムービー広告も多くなってきています。バナー自体も静止画のほか、Flash動画も増えてきています。ナローバンドの時代には動画はデータ量が多いので実用的な広告手法ではありませんでしたが、ブロードバンドユーザが9割を占める現在ではFlash動画くらいは何のストレスもなくブラウザで表示されます。

また、広告の掲載媒体も主要ポータルサイト以外に、個人のサイトも含まれるようになりました。主要ポータルサイトのトラフィックは、インターネット全体のトラフィックの約3割を占めるといわれていますが、裏を返せば残りの約7割のトラフィックはブログなどの個人サイトが占めていることになります。

その個人サイトの約7割のトラフィックを広告宣伝媒体として利用しようというのがアフィリエイト広告です。この個人サイトのトラフィックは裏トラフィックといわれ、主要ポータルサイトのトラフィック(表トラフィック)と区別されます。裏トラフィックは不特定多数の個人サイトですので、広告提供企業がコントロールすることは事実上不可能です。

アフィリエイトサイトの質の淘汰が始まるのではないかという主張をする人達がいますが、裏トラフィックは管理しきれないのでサイトの質を管理するということは現実的ではありませんから(今のコンテンツの質と一時間後のコンテンツの質が同じであることを保証する技術は今のところありませんので)、近い将来そうしたことが起こるとは思えません。

また、個人のサイトを質で選別しすぎるとアフィリエイトという広告手法自体がうまくいかなくなるということは、アマゾンドットコムが示しています。アマゾンドットコムがアフィリエイト(アソシエイト)プログラムで成功した秘訣は「提携サイトをできるだけ数多く持つこと」で、サイトの質はそれほど気にしないで企業ブランドは自社で守るという姿勢にあったのです。提携サイトの質を気にしすぎたCDNOWという企業はアフィリエイト広告で売上げを伸ばすことができずに失敗しています。

現在、アフィリエイトを含め、各企業はインターネットの広告媒体としての価値を無視できなくなっています。その背景にあるのはインターネットユーザの急激な拡大とテレビCMを見ない人達の増加です。

ブロードバンドの普及により、インターネットの常時接続は当たり前になっています。テレビを見ている時間や新聞雑誌を読んでいる時間でもインターネットブラウザは開いていて、メールを送受信できる環境にある人達が多くなっているのです。

そうした環境では、テレビCMの時間にはインターネットを利用するなどの、「CMを見ていない」行動をする人の割合が高くなっています。さらに、VTRの普及でテレビCMは再生中にスキップされるようになっていますし、一度見たCMは二度目以降は見ないという視聴傾向があることも分かってきました。この傾向はHDDレコーダーの登場で一層顕著になっています。

また、アメリカでは2003年の調査で13~24歳のインターネットユーザでは、インターネットを利用している時間の方がテレビを見ている時間より多くなっていることが分かっています。

近い将来、インターネットの利用時間とテレビの視聴時間の逆転が起こる可能性が高くなっています。日本でもそうなる可能性が充分ありますし、これまでのインターネットユーザの急増からみるとそれは避けられないものとなるでしょう。

企業にとって、インターネットは今や無視できないどころか、テレビCMを補完する媒体としても重要な位置づけをせざるを得ない状況になっているのです。

これは、インターネット広告市場が今後も拡大し続けるということを意味しています。

では、裏トラフィックの広告媒体としてのアフィリエイトの市場も拡大するのでしょうか。

前述したように裏トラフィックであるアフィリエイトサイトは広告提供企業がコントロールすることができません。したがって、企業側から見ると自社ブランドの維持確立という面ではアフィリエイトはリスク媒体です。しかし、多くの人達の目に触れるということは、自社サイトへの誘導という面に限ってみれば非常に有効な手段です。

こうしてみると企業側の戦略としては、アフィリエイトを顧客が自社サイトを訪問するための導線の役割に限定して利用しブランディングは自社サイトで行う、ということになるのではないかと推測できます。自社サイトにさえ誘導できれば、そこで企業独自のプロモーションができるのです。

また、アフィリエイトサイトがリスク媒体ではあるとはいっても、それ自体で企業のブランドイメージに傷が付くということはありません。インターネットユーザの多くはアフィリエイトサイトがどのようなものか分かっていますし、彼らにとっては大手ポータルサイトに掲載されている広告も個人のブログに掲載されている広告も広告自体の価値としては同じです。

インターネットユーザは、インターネットが巨大なハイパーリンクの集まりに過ぎなく、制御が困難なものであることを知っています。大手のポータルサイトで見かけた広告を1ヶ月後にたまたま個人ブログのアフィリエイト広告で見かけ、そこをクリックして企業サイトを訪れる人もいます。この人にとっては、大手ポータルサイトも個人サイトもその広告を掲載していたという点では同じです。広告の実質的価値は訪れた企業サイトで決まります。

こうしてみると、インターネットの広告は、様々な可能性を試しながらより一層発展していかざるを得ない、といえるのではないでしょうか。

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